宇宙開発は、三度めの犠牲者を出した。前号の本欄で報告したンユーズⅡ 一一十四日間という驚異的宇宙滞在ののち、六月一一十九日午後九時二十分サ 号のドプロポルスキー、ポルコフ、・ ( ツアエフ三宇宙飛行士が、六月一一一〇日 リ = ートとソューズの切り離し作業が完了、同三十日午前一時三十五分ソュ 任務を終えて帰還の途中、不慮の事故で死亡するという信じられない悲劇が ーズは最後の「それではしばらくさようなら」の挨拶を送って大気圏に再突 起こ 0 たのである。この = = ースが報道されたとき全世界が受けたシ , , ク入した。その後宇宙飛行士たちは地上の呼びかけに対して全く答えなか 0 た は大きか 0 た。その前日まで、外電は、種々の宇宙実験の成功と、これまで最が、降下そのものは極めて順調で、回収用パラシ = ートも、軟着用逆噴射も 高の長時間飛行記録の樹立をつたえ、すべては順調と報じていたのだ。無重スムーズに作動した。だが、かけつけた回収班が ( ッチをあけてみると、三 量状態のなかで ( クサイやタネギ、アなどを培する〈宇宙菜園〉の実人は各自の席に坐 0 たまま息絶えていたーーというのである。 験、ショウジョく , 工、カエルの卵、クロレラ、・ ( クテリアなどの無重量状態 ソ連当局の公式発表を待つあいだ、世界はその死亡原因をさまざまに想像 での生態を観察するための〈宇宙生物園〉の試みなどが行なわれ、いずれも した。それはだいたいつぎの三つに要約された。 成功とったえられていた。なかでも、もっとも重要なのは、宇宙飛行士たち 一、二十四日間の無重量状態滞在が、やはり無理だったのではないか。そ が自らの肉体を対象として行なう医学的実験だ 9 た。長期の無重量状態が、 のため、身体が極度に疲労し、とくに心臓が衰弱して、再突入の際の五 ~ 六 人体の各器官や筋肉、骨などにどんな影響を与えるか、そしてそれを、どんのシ , ' クにも耐えられず心臓ヒを起こしたか、あるいは失神から死に な方法によ 0 て = ントロールすることができるか。従来の長期間宇宙滞在で至ったのではないか。 も、さまざまの障碍の起こることが報告されていた。たとえば十三日十八時 一「何らかの原因でーーーたとえば極度の疲労から宇宙飛行士が ( ッチをし 間余の宇宙飛行を行なったジェミニ 7 号の宇宙飛行土たちは、脱カルシウム め損ねるとかあるいは機械的故障とかーーキャビン内の気が抜け、酸素欠 症状に苦しめられたし、十七日十七時間余を飛びつづけて、それまでの最高乏か急激な気圧低下のため死亡したのではないか。酸素欠乏の場合、人間は 記録をつく 0 たソ = ーズ 9 号の宇宙飛行士たちは、疲労が甚だしく、視力が短時間で窒息死するが、むしろこの場合は急激な気圧低下のほうが死の原因 衰え色の見分けが困難になった上、地上に戻ったときには地面におしつけら となりうる。気圧が急激に低下すると、体内の血液や体液がふっとうし、一 れる感じに悩まされ、直立することも、手をあげることも辛く回復するのに瞬のうちに意識を失 0 て、十数秒間で死亡する。 一週間もかかった。これは結局、無重量のため骨や筋力にが加わらないと 三、機械的原因。機械的あるいは電気的な故障で生命離持装置が役に立た ころから生ずる一種の退行現象なのだ。 なくなるか、あるいは耐熱壁から再突入時に三〇〇〇度を越す高熱がキャビ これを防ぐため、ソ = ーズⅡ号の宇宙飛行士たちは宇宙船内での毎日の運ン内に侵入した。あるいは、着陸時パラシ = ートやプャーキ・ 0 ケ ' トが正 動時間を倍にふやしたほか、特殊なゴム繊維でつくったペンギン服という一 しく作動せず地上に激突して死亡した。 種の与圧服を着た。この服はつねに身体をしめつけ、動くたびに筋肉や骨格 事実、四年まえの一九六七年ソューズ 1 号のコマロフ大佐の遭難原因は、 ハラシュート を使うように工夫されたものだった。このか、小体育館といわれるほど各 が絡んでの墜落死だった。 種の連動具を持ちこんでいた。 だが、これらのうち、第三の原因は、ソ連当局の公式発表で着陸は順調だ そして、こうした努力は非常に成功したはうだ 0 た。事実宇宙飛行士たち ったといっているので除外された。この発表をソ連当局の事実隠ぺいではな は、降下着前まで「気分良好、異常なし」と報告している。 いかと疑るむきもあ 0 たが、翌七月一日モスクワ市民の前で行なわれた盛大 4
明倔達造篤子雄巻末特選 / グエル新説によるカ作時代好評完結ー 和靖慶苑照 藤島淵村井農 斎中、岩杉新畑 紙扉ト侃明一八 ・ス靖和象喜 次ラ島藤月 表目イ中斎霜楢 S F マガジン 10 月号 ( 第 12 巻 10 号 ) ~ \ 270 昭和妬年 10 月 1 日印刷発行発行所東京都 千代田区神田多町 2 の 24 郵 1 0 1 早川書房 TEL. 東京 ( 254 ) 1551 ~ 8 、発行人早川清 編集人。森優印刷所東洋印刷株式会社 第六章人工冬眠ノート 渡辺晋 浅倉久志 ー〈遠 0 宮殿」たどり 0 ては《たも 00 手塚治虫 トータル・スコープ . 「アンドロメダ : ・ : 」特集 大伴昌 ' 司・ , 、 真鍋博 / 福島正実 《日本》石川喬司《海外》福島正実 加藤 ( 喬ー 4 「 cn でてくたあ サイエンス・ジャーナル、ゾューズの悲劇 人気力ウンター 世界 cou- 情報・ す・ヘーす・たいむ・あんてな・ 連載コラム コミヅグみの世界、語回ア = メーシ」野郎 沖一載科 1 物 特別寄稿 半 : 良 戦国自隊後篇〈一。。枚〉 彼らは日本統一へと快進撃を続けたがーーーその運命は時の神の掌中に握られていたー てればーと : 世界みすてりとびつく 188
19 7 夏年夏 0 月号目次 ー巨匠精選短篇 セイプルック星よりの使者 わが愛はひとっ 小さな町 を失 ? た男 冬の王ー 申請受理 天の窓 宇宙製造者たや ( 5 ) ~ 一 魔法使と謎の美女 長期連載 , 異能作家Ⅳ 0 、「のニューアイーリング最新作ー 最終回 筒井康隆 脱走と追跡のサンバ この世界は誰の内宇宙か ? その決着をつけるためおれは正子と尾行者を殺害したー 載当まを三三テ一一二エンサ - 〔、ロべディアをファンタスティカ アイサック・アシモフ ート・ LL ・ヤング『 フィリップ・・ディック シオドア・スタージョン アー ~ ・シュラ・・ル・グイン ェイプラム・デヴィッドスン ジョン。プラナー ^ 暮れゆく地球の物語第ニ話〉 ンヨート・ンヨート